51 / 157
閑話 ステラ・ルシェ・ミナルチークの虚栄
しおりを挟む
閑話 ステラ・ルシェ・ミナルチークの虚栄
何で? なんでこんなに上手くいかないの?
同年代のキャラを攻略してセイアッドも追い出した。ライドハルト様だってオルディーヌと婚約破棄してくれた。
これから待っているのは王妃になってイケメンキャラに囲まれて贅沢な暮らしをする日々だと思っていたのに。それが叶ったのは本当に少しの間だけだった。なんなら、邪魔者を追い出してからは全然上手くいってない。
まずは国王に叱られた。
なんて事をしてくれたとライドハルト様と一緒に叱られたけれど、セイアッドなんていなくたってライドハルト様もその部下も皆優秀だから問題無い筈。ライドハルト様と一緒にそう言い返したら国王は深い溜息をついて「もういい」と言って席を立ってそれっきり。
煩わしい勉強は教育係に言い掛かりを付けて辞めさせたり、仮病を使って回避している。だって、私はヒロインなんだから何もしなくたって皆から愛されて当然の存在でしょう? その証拠にチートアイテムを使ったとはいえ、少し勉強を頑張っただけで王子達は簡単に私に落ちたというのに。
最近はその王子達すら態度が冷たい。何を買うにしても予算がと文句をつけてくるようになったし、王妃教育を真面目に受けろと叱るようになってきた。
財務大臣の息子であるダグラスは姿を見せなくなってきたし、マーティンは心此処に在らずといった様子で考え込んでいる事が増えた。ライドハルト様は仕事に追われて顔すら見れていない。
こんな事だったらライドハルト様からのプロポーズを受けておけば良かったなー。歳下ハーレムルートを確定するには一度ライドハルト様のプロポーズを断る必要があったから適当な理由をつけて断ったけど、惜しい事したかな。
ただ、良い事もある。それは歳下ハーレムルートで邪魔してくる筈の三人がいない事。
オルテガもサディアスもリンゼヒースも絡んでこない事に違和感を感じながらも、障害がないなら楽でいいと思った。だって三人とも小煩いんだもの。
中でも特にウザいのはオルテガ。堅物で邪魔する時はガンガン絡んでくる癖にオルテガルートでは大したスチルもドキドキするような絡みもない。なんでアイツが人気なのか分からなかったわ。その癖、攻略が一番難しいとか私にとっては最悪のキャラだった。
ただ、オルテガのキャラデザをした人は好きだったなー。ゲーム雑誌のインタビューに載ってたのを見ただけだけど、めちゃくちゃイケメンだった! どうせならあの人が攻略キャラでいいのにと思ったくらい。
そんな事を考えながら手元にあるお父様からの手紙を見ながら溜息をつく。そろそろ『恋風の雫』が切れるから手に入れたいのに、売っている筈の人がいなくなっちゃったらしい。
困ったな。もう少しつける量を増やして好感度を上げておきたかったのに。ゲームでは一度上がった好感度はイベントや選択肢で失敗しない限りは下がらなかったのに、どうやらここでは違うみたい。
どうせならこれもゲームと同じようにしてくれたらもっと楽だったのになぁ。レベル上げも面倒だけど、聖女認定のイベントをクリアしないとトゥルーエンドにならないからそろそろ魔法とか練習しなきゃ。ゲームではそんなに難しくなかったから余裕だけどね!
それよりも今は新しいドレスの方が大事だわ。折角贅沢しようと思ったのに、王族でも自由に出来るお金は決まってるんだって。ケチな話よね。
でも、王妃教育の一環で見せてもらった交易の資料で一箇所お金を取れそうなところを見つけたの。これを進言すればきっと税収も増えて私が使えるお金も増えるに違いないわ。
それに、よく気がついたって褒めてもらえるかも! だって、こっちが食糧あげてるのに関税も掛けずにお金を払って絹の取引をしているなんてうちが損するだけじゃない。やっぱりセイアッドは無能だったのね。追い出して正解だったわ。
国王のお誕生日の会でセイアッドがシナリオと違う事をしたからちょっと心配していたけれど、結局領地で大人しくしてるみたいなのよね。あれはきっとバグか何かであの捨て台詞も強がりだったのよ。ほんと、カッコ悪いわ。
見た目も幽霊みたいだし、性格も根暗とか最悪よね。年上組の中で唯一攻略対象になってなかった事も納得だわ。
ああ、それにしてもこうしてゲームをなぞる程に追加シナリオが入った移植版やりたかったなって思うわ。新規スチルも攻略キャラも増えるって話だったのに、そのゲームが発売するよりずっと前、移植版の発表があった直後に私が死んじゃったから全然分からないのよね。
オルディーヌのお兄さんのルファスなんかかっこいいから攻略対象なのかと思ったけど、どうも違うっぽいからまた別にいるのかしら? いるとしたらどんなイケメンだったのかな?
どうせならその人も攻略したいのに、何にもヒントがないから探しようがないのよね……。
とにかく、今はそれよりお金の話よ!新しいデザインを思い付いたから作って貰わなきゃ!
何で? なんでこんなに上手くいかないの?
同年代のキャラを攻略してセイアッドも追い出した。ライドハルト様だってオルディーヌと婚約破棄してくれた。
これから待っているのは王妃になってイケメンキャラに囲まれて贅沢な暮らしをする日々だと思っていたのに。それが叶ったのは本当に少しの間だけだった。なんなら、邪魔者を追い出してからは全然上手くいってない。
まずは国王に叱られた。
なんて事をしてくれたとライドハルト様と一緒に叱られたけれど、セイアッドなんていなくたってライドハルト様もその部下も皆優秀だから問題無い筈。ライドハルト様と一緒にそう言い返したら国王は深い溜息をついて「もういい」と言って席を立ってそれっきり。
煩わしい勉強は教育係に言い掛かりを付けて辞めさせたり、仮病を使って回避している。だって、私はヒロインなんだから何もしなくたって皆から愛されて当然の存在でしょう? その証拠にチートアイテムを使ったとはいえ、少し勉強を頑張っただけで王子達は簡単に私に落ちたというのに。
最近はその王子達すら態度が冷たい。何を買うにしても予算がと文句をつけてくるようになったし、王妃教育を真面目に受けろと叱るようになってきた。
財務大臣の息子であるダグラスは姿を見せなくなってきたし、マーティンは心此処に在らずといった様子で考え込んでいる事が増えた。ライドハルト様は仕事に追われて顔すら見れていない。
こんな事だったらライドハルト様からのプロポーズを受けておけば良かったなー。歳下ハーレムルートを確定するには一度ライドハルト様のプロポーズを断る必要があったから適当な理由をつけて断ったけど、惜しい事したかな。
ただ、良い事もある。それは歳下ハーレムルートで邪魔してくる筈の三人がいない事。
オルテガもサディアスもリンゼヒースも絡んでこない事に違和感を感じながらも、障害がないなら楽でいいと思った。だって三人とも小煩いんだもの。
中でも特にウザいのはオルテガ。堅物で邪魔する時はガンガン絡んでくる癖にオルテガルートでは大したスチルもドキドキするような絡みもない。なんでアイツが人気なのか分からなかったわ。その癖、攻略が一番難しいとか私にとっては最悪のキャラだった。
ただ、オルテガのキャラデザをした人は好きだったなー。ゲーム雑誌のインタビューに載ってたのを見ただけだけど、めちゃくちゃイケメンだった! どうせならあの人が攻略キャラでいいのにと思ったくらい。
そんな事を考えながら手元にあるお父様からの手紙を見ながら溜息をつく。そろそろ『恋風の雫』が切れるから手に入れたいのに、売っている筈の人がいなくなっちゃったらしい。
困ったな。もう少しつける量を増やして好感度を上げておきたかったのに。ゲームでは一度上がった好感度はイベントや選択肢で失敗しない限りは下がらなかったのに、どうやらここでは違うみたい。
どうせならこれもゲームと同じようにしてくれたらもっと楽だったのになぁ。レベル上げも面倒だけど、聖女認定のイベントをクリアしないとトゥルーエンドにならないからそろそろ魔法とか練習しなきゃ。ゲームではそんなに難しくなかったから余裕だけどね!
それよりも今は新しいドレスの方が大事だわ。折角贅沢しようと思ったのに、王族でも自由に出来るお金は決まってるんだって。ケチな話よね。
でも、王妃教育の一環で見せてもらった交易の資料で一箇所お金を取れそうなところを見つけたの。これを進言すればきっと税収も増えて私が使えるお金も増えるに違いないわ。
それに、よく気がついたって褒めてもらえるかも! だって、こっちが食糧あげてるのに関税も掛けずにお金を払って絹の取引をしているなんてうちが損するだけじゃない。やっぱりセイアッドは無能だったのね。追い出して正解だったわ。
国王のお誕生日の会でセイアッドがシナリオと違う事をしたからちょっと心配していたけれど、結局領地で大人しくしてるみたいなのよね。あれはきっとバグか何かであの捨て台詞も強がりだったのよ。ほんと、カッコ悪いわ。
見た目も幽霊みたいだし、性格も根暗とか最悪よね。年上組の中で唯一攻略対象になってなかった事も納得だわ。
ああ、それにしてもこうしてゲームをなぞる程に追加シナリオが入った移植版やりたかったなって思うわ。新規スチルも攻略キャラも増えるって話だったのに、そのゲームが発売するよりずっと前、移植版の発表があった直後に私が死んじゃったから全然分からないのよね。
オルディーヌのお兄さんのルファスなんかかっこいいから攻略対象なのかと思ったけど、どうも違うっぽいからまた別にいるのかしら? いるとしたらどんなイケメンだったのかな?
どうせならその人も攻略したいのに、何にもヒントがないから探しようがないのよね……。
とにかく、今はそれよりお金の話よ!新しいデザインを思い付いたから作って貰わなきゃ!
53
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
人気アイドルになった美形幼馴染みに溺愛されています
ミヅハ
BL
主人公の陽向(ひなた)には現在、アイドルとして活躍している二つ年上の幼馴染みがいる。
生まれた時から一緒にいる彼―真那(まな)はまるで王子様のような見た目をしているが、その実無気力無表情で陽向以外のほとんどの人は彼の笑顔を見た事がない。
デビューして一気に人気が出た真那といきなり疎遠になり、寂しさを感じた陽向は思わずその気持ちを吐露してしまったのだが、優しい真那は陽向の為に時間さえあれば会いに来てくれるようになった。
そんなある日、いつものように家に来てくれた真那からキスをされ「俺だけのヒナでいてよ」と言われてしまい───。
ダウナー系美形アイドル幼馴染み(攻)×しっかり者の一般人(受)
基本受視点でたまに攻や他キャラ視点あり。
※印は性的描写ありです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる