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誤解2 side水都
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「え、ほんとなんで? どういうこと?」
今度はわたしが前のめりになって訊いていた。
「さーて。なんだろうね~」
羽咲ちゃんは余裕ある様子でかわしていく。
く、くそう……っ。でもわたしの方がからかいの前科あるからヘタなことは言えた立場じゃない……。
「羽咲ちゃん」
低い声で睨むと、羽咲ちゃんは顔の前で手を合わせた。
「ごめんごめん。いつか水都ちゃんにやり返したくて。高校のお友達はどう? 露季ちゃんと快理ちゃんだっけ?」
「うん、二人ともいい人。……なんか羽咲ちゃんと一緒にいた人と知り合いだったみたいだね?」
「菜原彩加(なのはら さいか)ちゃん。同じ空手部なんだけど、中学でもやってて、水都ちゃんのことも知ってたよ」
なのはらさん? 知らない名前だ……。
「わたし空手やってないよ?」
羽咲ちゃんが部活仲間でもあるってことは、お友達になったのはその縁が繋いだってことかな。
「私の試合の応援に来てくれてたでしょ? それで憶えたんだって。と言うかかなり注目の的だったみたいだよ、水都ちゃん」
「わ、わたし応援マナー悪かったとか? 悪目立ちしてたっ?」
羽咲ちゃんの試合でなんてことを! 悪評版が立って高校で応援に行けなくなったらどうしよう……っ。羽咲ちゃんの試合は全部見に行くつもりなのに!
「違うよ。いい意味で目立ってたんだって」
わたしの不安をよそに、羽咲ちゃんはにこにこしている。
「……いい意味?」
って、どういうこと? 応援に行っていて好評ってこと……?
「……あいつも空手強そうだなー、とか?」
「実際水都ちゃん強いんだけど、そういうんではなくて」
「わたしのは空手崩れだよ」
「それでコガサクくん引っ掛けてきたわけだ? コガサクくんとは殴り合ったの?」
………。
なんか真顔になってしまった、自分。
「羽咲ちゃん、さすがに作之助には負ける。というか、作之助ってめっちゃ紳士だから女子と殴り合いとかしないと思う」
「そうなんだ。今度試合申し込んでおこう」
今度はわたしが前のめりになって訊いていた。
「さーて。なんだろうね~」
羽咲ちゃんは余裕ある様子でかわしていく。
く、くそう……っ。でもわたしの方がからかいの前科あるからヘタなことは言えた立場じゃない……。
「羽咲ちゃん」
低い声で睨むと、羽咲ちゃんは顔の前で手を合わせた。
「ごめんごめん。いつか水都ちゃんにやり返したくて。高校のお友達はどう? 露季ちゃんと快理ちゃんだっけ?」
「うん、二人ともいい人。……なんか羽咲ちゃんと一緒にいた人と知り合いだったみたいだね?」
「菜原彩加(なのはら さいか)ちゃん。同じ空手部なんだけど、中学でもやってて、水都ちゃんのことも知ってたよ」
なのはらさん? 知らない名前だ……。
「わたし空手やってないよ?」
羽咲ちゃんが部活仲間でもあるってことは、お友達になったのはその縁が繋いだってことかな。
「私の試合の応援に来てくれてたでしょ? それで憶えたんだって。と言うかかなり注目の的だったみたいだよ、水都ちゃん」
「わ、わたし応援マナー悪かったとか? 悪目立ちしてたっ?」
羽咲ちゃんの試合でなんてことを! 悪評版が立って高校で応援に行けなくなったらどうしよう……っ。羽咲ちゃんの試合は全部見に行くつもりなのに!
「違うよ。いい意味で目立ってたんだって」
わたしの不安をよそに、羽咲ちゃんはにこにこしている。
「……いい意味?」
って、どういうこと? 応援に行っていて好評ってこと……?
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「実際水都ちゃん強いんだけど、そういうんではなくて」
「わたしのは空手崩れだよ」
「それでコガサクくん引っ掛けてきたわけだ? コガサクくんとは殴り合ったの?」
………。
なんか真顔になってしまった、自分。
「羽咲ちゃん、さすがに作之助には負ける。というか、作之助ってめっちゃ紳士だから女子と殴り合いとかしないと思う」
「そうなんだ。今度試合申し込んでおこう」
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