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偶然6 side作之助

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総真、どういう人と付き合ってんだよ。

俺の不安をよそに水都さんはあははと笑う。

「大丈夫大丈夫。むしろその頃から総真くんは羽咲ちゃんだけ特別だったから、噛みあってはいなかったけど問題になるようなことはなかったよ」

そですか……。今笑いごとになっているのならいいんだけど……。いや、いいんだろうか。ちょっと悩む。

そういえば今日は心配して早めに登校したけど、これと言って大事にもなっていなかった。

水都さんのクラスの何人かから「昨日大丈夫だった?」みたいなことを訊かれたから、「なんとか間に合った」と答えると、ほっと息をついて「ありがとう」と言われた。

こう言うのも難だけど、水都さん……なかなか問題児では? 司さんもなんか不安になる話を聞く人だし、この二人がつるんでいて小、中と大丈夫だったのか……?

「由羽くんはねー、基本無愛想だけど面倒見のいいお兄ちゃんだねえ。わたしのお兄ちゃんにもなってくれてるんだよ」

「……水都さんの兄なの?」

「うん。由羽くんはわたしが父様と母様の娘じゃないって知ってるんだけど、わたしのことも妹だって言ってくれてる。わたしが父様に似てるってよく言ってくれるし、いい人だねえ」

「……そうか」

由羽はそのレベルで面倒見のいい奴なんだ。

俺も世話をかけ過ぎないようにしないと。

面倒見のいい奴って、自発的にそうしているというより周りの環境でそうせざるを得ない場合もあるから。

そういうのってしんどいんだよな。

由羽の周りは手のかかる人が多そうな印象……せめて、俺までってことにはならないようにしておこう。

「あの、ね? 作之助……」

「なに?」

なんか急に水都さんの声のトーンが変わった。

ぼーっと前を見ていた目線を向ければ、うつむき気味で歩幅も狭くなっている。

水都さんに合わせてゆっくり歩いていると、今度は勢いよく顔をあげてきた。

「あの! 今度うちに来ないかな⁉」

「……へ? 水都さん家?」

なんでそんな話になる。思わず歩くのが停まってしまった。

水都さんは両手をわたわたさせる。

「あの、友達が出来たって父様に言ったら、今度遊びにきてもらったら? って言われて。わたしの高校の最初の友達って作之助だから、まず作之助に来てほしくてっ」

「………」

水都さんの家に? 俺が?

………。

「水都さん」

「は、はいっ」

静かに名前を呼ぶと、水都さんは背筋を正した。

「俺はやめておこう。山手さんと常盤さん連れて行こう」

「……えっ? も、勿論露季ちゃんと快理ちゃんを呼ぶけど、まず作之助に来てほしくて――」

俺の提言に、水都さんは困ったしまったようだ。

でも俺はおすすめできない。

「俺が友達とは言わない方がいい。娘が騙されてるとか不良に絡まれてるとか、親御さんに悪印象与えるだけだ。せっかく父様も水都さんに友達出来たって安心してるなら、余計な心配は指せない方が――」

「や、やだ!」

え? 俺が説得しようと言葉を考えながら話すと、水都さんが大きな声で拒絶してきた。

「作之助が友達なことわたしには欠片も悪いことじゃない。わたしの大事な友達を、自分でおとしめるようなこと言わないで」

あ。……しまった。またやらかしちまった……今朝山手さんに言われたばかりなのに……。

山手さんのお怒りの言葉を思い出して慌てて言った。

「ごめん、今のはナシ」

「うん」

水都さんは子供みたいにこくりと肯く。

ほ……そんなに怒っていなかったみたいだ。よかった。

水都さんが歩き出したので、俺も並んで歩く。

「でもそれを抜きにしても、最初に連れていく友達が男の俺でいいの? 父様的には女子の友達が出来たと思ってるんじゃない?」

普通はそうじゃないかな。男女混合のグループはあるけど、いきなり野郎一人を紹介されても不安になるだけじゃ……。

俺の言葉を聞いた水都さんは、うーんとうなりながら軽く中空を見た。

「大丈夫だと思うけどなあ。父様自身、女性の友達いるし」

「そうなの?」

「うん。羽咲ちゃんのお母様と父様が幼馴染で割と仲良かったから、羽咲ちゃんのお母様のお友達とは、父様も友達なの。羽咲ちゃんのお母様と父様は兄妹みたいな感じって聞いてる」

へー。……あの由羽のお母様で司さんのお母様……。

どっちだ。どっち似なんだ。気になって仕方ない。

黙々と考えていると、また「作之助」と呼ばれた。

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