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五 羽咲の名前をつけたの俺らしいけど……憶えてないな。
side那也14
しおりを挟む「は、はい……」
私が恐る恐る返事をすると、木舞先生はにやっと笑った。
「騒ぎの中心はお前らみたいだな。俺も騒ぎに混ざりたいからあとで詳しく聞かせて」
ひいっ!!
「やです」
由羽くん!?
「いーじゃん司。減るもんじゃなし」
食い下がる木舞先生に、由羽くんは堂々と言ってのけた。
「減ります。那也が可愛いのを知ってるのは俺だけで十分です」
「司……そんなキャラだったっけ? なんかもう俺が腹いっぱいだからさっさと教室戻れ」
木舞先生が負けた!
「失礼します。那也、また来るね」
私にそう言ってから由羽くんは一礼して教室をあとにした。
……感じる視線の数々。私、今日無事に帰れるかな……。
……案の定。
「那也―。おーい。帰ろうよー」
「……んー」
放課後になったときには、私は半ば屍(しかばね)と化していた。
千波に返事をして、机にほっぺたくっつけて長く息を吐く。
休み時間になれば由羽くんがやってきて、それは嬉しいんだけど同級生も集まって来て根掘り葉掘り訊かれて。
由羽くんはそういう話をすることに抵抗がないのか、欠片も照れることなく応じていた。
おかげで私だけが爆発しそうになっていたという。
「坂野、那也いる?」
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