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四 なゆの名前は当然のように母さんとお揃い。
side那也19
しおりを挟むまだ顔をぐずつかせながら、由羽くんが私を見て来た。
「なんで?」
「だって俺、こういうのですぐ泣くし、いつも景やなゆや妹には呆れられてて……」
そうなんだ。でも、
「そんなことないよ。由羽くん優しいなあって思ったよ?」
感情が豊かとか、そういうことなのかな。普段はクールなのに。
「素敵だって思ったよ」
だからこんなに、好きになってしまったのかもしれない。
「……カッコ悪くない?」
あれ? いつも私のことを見て喋る由羽くんが、視線を落として言った。
……なんかヘンな感じだ。
声を聞くとき、由羽くんの顔が見えていないと。
「全然。優しい由羽くんほどカッコいい人いないよ」
「……俺を優しいなんて言うの、那也が初めてだよ」
「そうなの?」
「………たぶん、―――なんでもない。でもこんな泣くとか……情けない」
「そんなことないよ。ってか、この映画選んだの由羽くんじゃ……内容知らなかったの?」
「調べたら女子に人気あるのこれだったから。くっ……男まで泣かせようとするなんて……っ」
……女子なのに泣けなくて悔しい! 今からでも泣けないかな? むー……って、うん?
「調べたの? 菜雪ちゃんに訊いたとか?」
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