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四 なゆの名前は当然のように母さんとお揃い。
side那也10
しおりを挟むぽつりと由羽くんが口を開いた。
……なに、言われるかな……嫌われちゃったかな。気味悪いって思われたかな……。
……と言うか私、なんで好きだって気づいた数秒後にその相手にこんな重っ苦しい話してるの……。嫌われるどころか愛想つかされるわ―――
「なんか、那也の可愛さが増した……」
「…………………………は?」
え、由羽くん今、なんて言った……?
私の瞳が胡乱だったのか、由羽くんは「いや」と続けた。
「学のこととか、そう言う風に言える那也、可愛いなって思った」
………また由羽くんの思考回路がよくわからなくなった……。
どこをどう繋げたら、こんな姉どころか母親扱いされる私が可愛いなんてなるんだろう……。
けれど由羽くんは、ふざけて言っているわけではないようだ。顔が真剣そのものだった。
……真剣な瞳でそう『可愛い』を無料配布してると、いつか大事故起こすよ?
すでに私の頭ん中では、事故起こってるし。
勝手にすきになってるし。
「由羽くんって、いい人に囲まれてきたんだね」
「うん?」
「そう言う風にひねた考えを真っ直ぐとらえるところとか、真っ直ぐに育って来たんだなあ、って」
……いや、友達に対して『育って来た』とか言うから、私は母親扱いされるんだろうな。
「俺もそう思う。父さんと母さんと、祖父母たちは辛い思いばっかして、今俺たちに命をくれたから」
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