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二 那也の『那』は那由多の那らしい。
side那也6
しおりを挟むお、王子にとんでもないことを言われた気がして叫んでしまうと、由羽くんは眉根を寄せて怒ったような顔になってしまった。
「那也、俺よりなゆのが好きなの?」
「えっ? ………」
す、好き? コノヒトハナニヲイッテイルンダ?
私が停止していると、雪村くんがため息をついた。
「こら由羽。遠江困らせないの。わりーな、遠江。由羽って両親の所為でちょっとこういうとこおかしくて……」
「え、あ、いえ……」
確かに、おかしい。昨日逢ったばっかの奴に何言ってるんだ? 由羽くんは……。
「由羽、兄さんに言いつけるぞ」
「父さんは那也のこと知ってるよ?」
「なんで」
「俺が昨日話したから」
「………はー……」
雪村くんが、今度は額を押さえて長く息を吐いた。なんか雪村くんって大変そう……。
由羽くんは変わらず不機嫌そうな顔で言う。
「景。お前が今父さんに相談してることバラし――」
「わーっ! だーっもう! お前は余計なことしか言わない口閉じろ! バカ!」
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