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二 那也の『那』は那由多の那らしい。
side那也2
しおりを挟む大きな声で呼んで、こっちへやってきた。
え? 同じ学年に同じ名前の人いたんだ――
「那也? どうした、きょろきょろして。おはよう」
「え? わ、私?」
「うん? あれ? 俺、人違いしてる? 那也だよね?」
「な、那也です……」
ま、まさか王子様と言われるような人が私に話しかけて来たとは一瞬、本気で思えず戸惑ってしまった。
隣の千波は驚き過ぎて口をあんぐり開けている。
「由羽―。昨日言ってたの、その子?」
次いで、菜雪さんと雪村くんもやってきた。
う……キラキラオーラに目をつぶされそうだ……。ってか菜雪さん、声まで可愛いな!
「うん、昨日友達になった。那也、こいつらとは初めまして?」
「あ、はい……お初にお目にかかります。遠江那也です。あと、友達の坂野千波(さかの ちなみ)です」
千波の背中を軽く叩くと、はっと意識を取り戻したように慌てて頭を下げた。
「は、はじめましてです! 坂野です!」
「はじめまして。司菜雪です。こっちは雪村景。那也ちゃんと千波ちゃん――でもいい?」
「ど、どうぞ……」
「私も菜雪でいいからね。千波ちゃんも。由羽が――」
「なゆ。なんでお前ばっか那也と話すの。那也の友達は俺」
なゆ、とは菜雪――ちゃんの愛称だろうか。
何故か平坦な瞳になる菜雪ちゃんと雪村くん。
「あーはいはい。ほんとお兄ちゃんそっくりだよ、由羽は。那也ちゃん、由羽がヘンなことしたらすぐに言ってね? 由羽ってアホなとこお兄ちゃんによく似てるから」
「あ、は、はい……?」
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