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九 たまにでいいから、こうしてもいいか?
side流夜1
しおりを挟む在義さんはそのまま仕事へ向かうと言う。やっぱり無理に時間を作ってくれたようだ。俺は在義さんの了解を取って、華取家へ行くことにした。とにかく今、咲桜に逢いたかった。
念のため咲桜にメールをすると、「待ってますね」との返事があった。……そのあとに「話は聞かせてもらいますよ」とも書かれていた。かなり気にしているようだ。まあ、気にさせるように言ったし。
華取家の駐車場に車を止め、玄関のチャイムを鳴らしたときだ。
「あら、咲桜ちゃんに御用ですか? ――神宮先生」
「!?」
『神宮先生』――そう呼ばれ、声の方を見た。今はメガネを外し、学校とは外見を変えているのにその呼び方。――誰だ?
声は隣の家の門扉辺りにいた女性からだった。
「それとも、今は神宮さんってお呼びしましょうか?」
ふわふわした落ち着いた色の髪。小柄で幼い顔立ち。白衣ではなくストールを腕にかけた彼女は――養護教諭の朝間夜々子(あさま ややこ)だ。
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