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七 今は偽モノ、だけど――
side流夜7
しおりを挟む「流夜くんは私のことまで抱え込んじゃったじゃん。私だけ、一人分の問題でいいっていうのは、やだ」
仲間外れは嫌、みたいな、子供っぽい内容かもしれない。それでも、咲桜が俺に対してそう思ってくれることが、やっぱり嬉しい。
「……わかった。確かに、咲桜の方だけ聞くのはフェアじゃないか」
観念して、目線を落とした。咲桜は強くこちらを見て来て、片方だけ繋いでいた手にもう片方も添えた。それに少しびっくりした俺は目線を咲桜に戻した。
観念した、というよりも、諦めがついた。そして、勇気をもらった、そんな気がした。こんなことを話すのは、本当に勇気がいるから。……いくら俺でも。
「……俺な、家族がいないんだ」
「………」
「俺が赤ん坊の頃、殺された」
「―――」
俺の申し訳ない響きの告白に、咲桜は目を見開いた。
……今までに、自分からこのことを話したのは、降渡や吹雪たち同郷以外では一人だけだ。
ニュースにもなったような事件だから、調べようとすれば簡単に調べはつく。その一人以外は、大体向こうが調べて知ったという感じだ。
「犯人は捕まってない。それが、俺が警察に関わるようになったきっかけだ。……大丈夫か?」
咲桜の顔色が悪い。いや……こんな話を聞いて、気分のよくなる者はいないだろう。やはり話すには焦り過ぎたか。
……あまりに咲桜が真剣に踏み込んでくるから、自分もその距離をうまく摑めないでいた。余計に心を重くしてしまっただろうか――
「っ、咲桜?」
首筋になにかが巻き付いて、正面から衝撃を受けた。
一瞬遅れて理解する。咲桜が抱き付いて来たのだと。
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