128 / 179
七 今は偽モノ、だけど――
side流夜3
しおりを挟む『よー、りゅう。そっち雨すげーんだって? 大丈夫かー?』
「うるさい」
『あれ、いつもより声が辛辣なんだけど』
辛辣にもなる。せっかく可愛い寝顔を見ていたのに。音を立てないように扉を閉めて話す。
「なんだよ。今日は吹雪んとこ行けなくても文句言われないと思うんだが」
『言わねーよ。反対にふゆは署から帰れなくなってるみたいだしな。少し情報交換しねぇ?』
「あいつは……。いつもの範囲でいいんならな」
『おっけー』
明るい降渡の声に、後ろ髪を断ち切る。あまり見ていてばかりでは咲桜も嫌かもしれない。パソコンを置いたままの机に戻る。
いつもの範囲というのは、あくまで俺が知っている情報かつ、警察内部に関わって知ったことは除外する、というもの。同じように降渡も、探偵業関係で知りえた個人情報は示さない了解がある。時と場合によってその境界は揺らぐけれど。
降渡の質問に答えたり、訊きたいことも訊いておく。咲桜が目を覚まさないように声はいつもよりひそめていた。
「……せんせい?」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり
Keitetsu003
ライト文芸
このお話は「風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-」の番外編です。
藤堂正道と伊藤ほのか、その他風紀委員のちょっと役に立つかもしれないトレビア、雑談が展開されます。(ときには恋愛もあり)
*小説内に書かれている内容は作者の個人的意見です。諸説あるもの、勘違いしているものがあっても、ご容赦ください。
御手洗さんの言うことには…
daisysacky
ライト文芸
ちょっと風変わりな女子高校生のお話です。
オムニバスストーリーなので、淡々としていますが、気楽な気分で読んでいただけると
ありがたいです。
透明人間になった僕と君と彼女と
夏川 流美
ライト文芸
――あぁ、お母さん、お父さん。つまりは僕、透明になってしまったようです……。
*
朝、目が覚めたら、透明人間になっていた。街行く人に無視される中、いよいよ自分の死を疑い出す。しかし天国、はたまた地獄からのお迎えは無く、代わりに出会ったのは、同じ境遇の一人の女性だった。
元気で明るい女性と、何処にでもいる好青年の僕。二人は曖昧な存在のまま、お互いに惹かれていく。
しかし、ある日、僕と女性が目にしてしまった物事をきっかけに、涙の選択を迫られる――
月と影――ジムノペディと夜想曲
永倉圭夏
ライト文芸
音楽を捨て放浪する音大生「想」は冬の函館にフリーターとして身を置いていた。想は行きつけの居酒屋「冨久屋」で働く年上の従業員、すがちゃんに心温まるものを感じていた。
そんな中、駅に置かれているピアノを見つけた想。動揺しながらも、そこでとある女性が奏でるショパンの夜想曲第19番の表現力に激しい衝撃を受ける。それに挑発されるように、音楽を捨てたはずの想もまたベートーベンの月光ソナタ第三楽章を叩きつけるように弾く。すると夜想曲を奏でていた女性が、想の演奏を気に入った、と話しかけてきた。彼女の名は「藍」。
想はすがちゃんや藍たちとの交流を経て絶望的に深い挫折と新しい道の選択を迫られる。そしてついにはある重大な決断をすべき時がやってきた。
音楽に魅入られた人々の生きざまを描いた長編小説。
些か読みにくいのですが、登場人物たちは自分としてはそれなりに魅力的だと思っています。
男性向けか女性向けかというと、消去法的に女性向け、と言えなくもないでしょう……
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語(はるか ワケあり転校生の7カ月 姉妹作)
武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
南千住にある鉄工所の娘まどかは乃木坂学院高校の二年生。
演劇部は、都下有数の名門演劇部。
まどかは、先輩への憧れが強いだけの裏方とその他大勢も満足にできない落ちこぼれ部員。
あたりまえなら、ドジでオッチョコチョイのまま人知れずハシクレ部員で終わるところだったが、稽古のおわり、道具の搬入練習の最中に憧れの主演女優潤香先輩が怪我をして意識不明に!
持ち前の義侠心とオッチョコチョイで、ハイソ演劇部を……救う……のか? 潰すのか? それとも?
【完結】今更魅了と言われても
おのまとぺ
恋愛
ダコタ・ヒューストンには自慢の恋人が居る。彼の名前はエディで、同じ魔法学校の同級生だ。二人の交際三ヶ月記念日の日、ダコタはエディから突然別れ話をされた。
「悪かった、ダコタ。どうやら僕は魅了に掛かっていたらしい……」
ダコタがショックに打ちひしがれている間に、エディは友人のルイーズと婚約してしまう。呆然とするダコタが出会ったのは、意外な協力者だった。
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全17話で完結予定です
同期の御曹司様は浮気がお嫌い
秋葉なな
恋愛
付き合っている恋人が他の女と結婚して、相手がまさかの妊娠!?
不倫扱いされて会社に居場所がなくなり、ボロボロになった私を助けてくれたのは同期入社の御曹司様。
「君が辛そうなのは見ていられない。俺が守るから、そばで笑ってほしい」
強引に同居が始まって甘やかされています。
人生ボロボロOL × 財閥御曹司
甘い生活に突然元カレ不倫男が現れて心が乱される生活に逆戻り。
「俺と浮気して。二番目の男でもいいから君が欲しい」
表紙イラスト
ノーコピーライトガール様 @nocopyrightgirl
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる