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四 偽モノの、婚約者ができました。
side咲桜5
しおりを挟む「う?」
私が首を傾げると、笑満は真剣な瞳で見てきた。
「それ、絶対秘密だよね?」
「う、うん。警察関係の話だし、知られたら先生にも迷惑かかるし――
「あたし、アリバイ作りの協力とか何でもするから、頑張ってね。在義パパと結託して学校を騙す自信、あるから」
ものすごく力強く言われた。私は当惑する。
「あ、ありばい? 何を頑張るの? って言うか何故父さんと結託……」
「え? 咲桜、先生のことすきでしょ? 今は偽婚約だけど、卒業しちゃえば関係ないし。あ、その前に先生が教師辞めるんだっけ?」
「………」
「あれ? 違った?」
「………」
「咲桜―?」
「………っ! ええええっ⁉ 私先生のことすきなのっ⁉」
「反応遅いなー。あたしから見たら、なんか咲桜、昨日からやたら楽しそうだしニヤニヤしてるし、昼休みが待ちきれないみたいに挙動不審だったし。早く先生に逢いたかったんじゃないの?」
「い――いやいやいや! そんなことはない! ……はず………」
思いっきり否定しようとしたけど、言葉におまけがくっついてしまった。な、何故に言い切れない……⁉
「ふーん? 咲桜がわからないことをあたしが言い切れるわけはないけど……なんか、昨日から咲桜が楽しそうだなーって思って、お昼に訊いたんだけどね?」
「私が楽しいのは笑満がいるからだよ」
「あはは。まだ頼を恨んでるの?」
「それはもうないけど……。友達も、笑満と頼がいればいいと思ってるし」
「そこに頼を含めるのが咲桜の包容力なんだよね。まー、あたしも彼氏いたことないから出来るアドバイスもないんだけど」
「その前に私が先生をすきかどうかも謎だって。恩は感じてるけど……。それに、笑満は夏島先輩がすきなんでしょ?」
「………」
笑満の目線がうようよと動いた。私は反撃の手を見つけて内心にやりとする。
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