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三 ……なんで、そんなものを?
side咲桜5
しおりを挟む先生も、結婚どうのという話にはならない方向にしたかったようだし、そもそもそういうことを面倒だと言っていた。
「……ん? なんで今もやっとした?」
変な気分だ。お隣のことでもやもやするのなら今までもあったけど、今のはそれと時間のずれがある気がする。
「……ま、私の出来ることをやるか」
今のところ家事炊事だけなんだけど。
「どうせだったら先生には美味しいもの食べてほし――
だ、だからなんで先生を名指しする!
無意識に口をついた言葉に心の中でツッコんだ。
……今日の自分、色々とおかしいな……。
「……早めに寝よ」
と、自戒したところで、手の中のままのスマートフォンが振動した。
「ん? ――えっ」
うそっ、先生からだ⁉ え、連絡とかくれていいのっ?
短いメッセージを見て一転、私の気持ちは浮足立ってしまった。
こ、これは……美味しいものを作るしかない!
俄然気合の入ってしまう私だ。
「なんてゆーか……単純だなー、私」
急いで返信をして、もう明日の昼休みが楽しみになっていた。
まさか師匠から感想をもらえるなんて、思っていなかったから。
『弁当美味かった。ありがとう』
一行にも満たない、それだけでとても嬉しかった。
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