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二 優しさをもらった気がした。
side咲桜5
しおりを挟むドライヤーを当てるときに整えた髪が若干乱れた私は、玄関の閉まる音を聞くと同時にその場にへたり込んでしまった。
び、びっくり、した……。
先生が手を置いた頭へ、自分の両手をやる。
心臓が止まるかと思った。
どうして先生はあんなことを言ったのだろう――まさか知られた?
仮婚約なんて、近しい状態になったことに安心して、マナさんが?
それとも先生を気に入っているようだった在義父さんが?
話してしまったのだろうか――それで、あんな言葉をくれた?
頭があったかい。頬が熱い。
頬に伝うあたたかさは、先生のくれた言葉?
大丈夫だから。
私の過去を知っていても、いなくても。
そんな言葉をくれた人は、今までいなかった。
………先生に、優しさをもらった気がした。
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