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七 ほんとは、今日一番に言いたかったんだけどな。
side流夜11
しおりを挟む今度は、俺から距離を詰めた。ゼロ距離。咲桜との間に隔てもなにもない。
思うまま優しい口づけをする。咲桜に抵抗の様子はなく、求めれば応(いら)えがあった。咲桜から力が抜けていくのがわかって、今度は頬や額、瞼にキスを落とす。開いた瞼の下の瞳は薄ら潤んでいて、これ以上ないほど妖艶だった。
……先ほどの咲桜のヘンな解釈を聞いていなければ、何もしないでいた保証はない。まだキスを出来るほどの距離を残して、背中に腕を廻した。咲桜が頬ずりするようにぴったりくっついてきた。
「……咲桜」
「はい……」
声まで潤んで聞こえる。だからそれ以上色香出すな。
「来年も……同じものが、ほしいな」
「……キス?」
「うん。咲桜から」
「……がんばります」
くすりと笑みがこぼれる。こうやって、未来の約束が出来るようになるなんて。自分ごとながら信じられない。
「あ……十二時、なるね」
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