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六 ずっと、傍にいたいです。
side遥音8
しおりを挟む「遙音くん! ごめんな! なにも、あのとき何も君に出来なくて……っ、ごめんな、元気、だったか? 随分背が伸びたんだね。おじさん越されちゃったな。こんなにカッコよくなって――もう高校生なんだね」
『おじさん』は俺を抱きしめて、むせび泣くように言葉した。
俺は言葉がない。挨拶なんて、言葉をもう考えられない。
忘れないでいてくれた。何も出来なかったと後悔していた。幼い自分を、憶えていてくれた。成長を喜んでくれた。――なんで逢うのを怖いなんて思っていたんだ。こんな優しい人の許で育った娘(こ)だから、笑満ちゃんはあんなにも優しい子なのに――。
「お……久しぶり、です……」
涙と一緒に言葉が流れる。
「うん。久しぶり。遙音くん」
おじさんの顔は、涙まみれの笑顔だった。
きっと、自分も。
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