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三 まず爆発させないから。

side剣5

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「話が飛び過ぎだ、ケン。……雅が苦労ばかりするわけだ」

「俺に惚れられたのが運のつきだねー」

コーヒーを見ながら、磨いてあったカップを棚に仕舞う。

「ねえゼン。私に惚れてくれてんの?」

「………は?」

いきなりの妻(笑)からの問いかけに、ゼンは面喰った。

そんなことを訊く理由を知る俺は、二人に背を向けて軽く吹いた。

「流夜がさ、仏頂面の超不機嫌な顔しか見たことなかったんだけど、彼女と一緒だと常に楽しそうなんだよね。笑うし。ケンがそれを、べた惚れゆえって言うから……ゼンはどうなの?」

興味津々で訊かれて、ゼンは俺を睨みつけてきた。あはは、俺が原因だってばれてる。

「お前はな――」

ぶに。

「いつになったら俺の嫁だっつー自覚出来んだアホ」

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