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番外編2
side千波10
しおりを挟む「………」
「………」
お姉ちゃんの話を聞いて家へ直帰した。
そして今、書斎にこもっていたお父さんの真後ろに無言で突っ立っている。
「………」
「………」
「なんだ、千波」
お父さんが机に向かったまま喋った。
「無言の圧」
「……悪質な。なんか言いたいことでもあるのか」
そこでやっと、回転椅子を回してわたしの方を見て来た。
「玲哉くんとのお付き合い、お父さんに反対されたままでは困る」
「………」
お父さんは見た目に明らか、ぶすっとした表情になる。
「玲哉くんと玲哉くんのお父さんは別人で別の人格だよ」
「お前は藍田先輩の怖さを知らないからそう言えるんだ。あの人の息子なんて恐ろしいだけだ」
はあ……お父さんはお父さんで、玲哉くんではなく玲哉くんのお父さんへの積もり積もったものを解消できずにいるのかな。
「……それでもわたしは玲哉くんがすきだよ」
「………」
不機嫌な顔になるお父さんだけど、ちゃんと言わなくちゃ。昨日はわたしも頭にきて何も言えなかったから。
「こ、こういうこと言うの恥ずかしいけど、わたしは最初玲哉くんのこと、変わった人だなって思ってた。わたしなんかを好きになるんだもの。でも、玲哉くんはすごく綺麗だった。うまく言えないんだけど、こう……魂が綺麗と言えばわたし的にはしっくりくるんだけど、そんな感じなの。それから一番大事なことだけど、すごく優しい。こんな神様みたいな人がいるのかってくらい。……お願いだから、玲哉くんの周りじゃなくて、玲哉くんを見てほしい。その上で反対するって言うんなら、わたしもまた考えなくちゃいけない」
もちろん、別れるとかいう方向ではなく、お父さんを説得するための考えだ。
お父さんはしばらく黙ったまま、足元に視線を落としていた。どうくる……。
「……悪かった」
「……え?」
「だから、悪かった。昨日はお父さんの態度が悪かった」
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