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三 前世と現世
side千波3
しおりを挟む「でも……わたしは何も知らないよ……?」
「うん? それが普通でしょ?」
「そうじゃなくて……藍田くんはいわゆる前世の記憶があってそのときのわたしのことも憶えてるって言ってたけど、わたしはわたしの記憶しかないし、藍田くんのことも全然知らない……藍田くんの恋人だった人とは……違うというか……」
「うん。その通りだよ? 千波ちゃんは千波ちゃん。ってか、なんか今更じゃない?」
「前世の恋人だとか言われて飲み込むのに三週間かかったんだよ」
電話で話した日から今日で三週間。
電話で、藍田くんは教えてくれた。
本当にこのアザは藍田くんがのこしたもので、前世のわたしとは恋人の仲だった、と……。
「俺も前世の記憶だって理解するのに、生まれてから三年かかったよ」
「三年……それじゃわたしは早い方なのか――って、藍田くん三歳で理解してるじゃないですか」
どんだけ早熟な三歳児だ。藍田くんは薄く笑う。
「俺も、記憶は持ってるけど、今の自分とは別人で別人格ってとらえてるよ?」
だから、と膝の上の本に置いたわたしの手を、藍田くんが重ねて握ってきた。
「だから『俺』は、千波ちゃんが好きなんだ」
もう無理だ。隠し通す気力がない。やっぱりこの人は大天使だ……!
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