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6 残滓
side黎3
しおりを挟むそうして、名前だけを残して、望まれながらも忌まれた退鬼師一族は、退鬼師としての名と地位、伴って能力も失くして行った。
命を継ぐために、一族を滅ぼしかねない能力を捨てることを選んだのだろう。
……今代に入り、イレギュラーが起きた。
影小路家より養子に出された娘――その理由まではわからなかった――が産んだ子が、影小路家に重要な存在であった。
……始祖の転生。
その呼称と意味を知って、納得するものがあった。
真紅が倒れていた時、明らかに致死量以上の血は流れていた。
だが真紅は瞬きをし、かすかながら喋ることも出来た。
並ではなかった生命力。
それも、始祖の転生という特殊な生まれの命ならば、理由になる。
……真紅は、知ったのだろうか。
最初に逢った時は、真紅は何も知らないようだった。
妖異なんかも視えていなかった。
だが、架が言っていた。
『黒藤様に感づかれる前に―ー』
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