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6 残滓
side白桜5
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「……百合姫は、変わりないか?」
俺のもと――月御門で預かっている物忌(ものいみ)の少女。
黒はあからさまに話題を逸らした。
「百合姫は問題ない。……今のところ、だが」
「……俺が逢いに行っても百合姫には嫌われるだけで、あちらの気分転換にもならないだろう。……白にばかり百合姫のことは任せきりにしてすまない」
「じい様が請(う)けた案件だ。大事ない」
百合姫の件は、俺が先代の祖父から受け継いだ仕事だ。
百合姫は物忌(ものいみ)――百合姫の場合は、生まれついて憑き物があるということ――であるために、生家である水旧(みなもと)家より、旧縁の月御門家に預けられている。
――百合姫の憑き物は、祓ってはいけない類のもの。
そして百合姫は、黒との仲が険悪だ。
俺にとっては、生まれた時より傍にいる妹のような親友。
百合姫も俺が女だと知る数少ない一人なのだが、その俺を、嫁にする! と堂々と宣言する黒に対しては反感しかないようだ。
三人集まれば自分だけが護られる対象であるのも嫌らしい。
「ん?」
ふと、耳に言霊が届いた。
式に下していなくても、《契約》した妖異や、神や鬼の類と声の送り合いが出来る。
妖力が高いものではないとその声は人語にはならないが、俺はそうではないものの声も聞くことが出来た。
それは母様ゆずりらしい。
俺のもと――月御門で預かっている物忌(ものいみ)の少女。
黒はあからさまに話題を逸らした。
「百合姫は問題ない。……今のところ、だが」
「……俺が逢いに行っても百合姫には嫌われるだけで、あちらの気分転換にもならないだろう。……白にばかり百合姫のことは任せきりにしてすまない」
「じい様が請(う)けた案件だ。大事ない」
百合姫の件は、俺が先代の祖父から受け継いだ仕事だ。
百合姫は物忌(ものいみ)――百合姫の場合は、生まれついて憑き物があるということ――であるために、生家である水旧(みなもと)家より、旧縁の月御門家に預けられている。
――百合姫の憑き物は、祓ってはいけない類のもの。
そして百合姫は、黒との仲が険悪だ。
俺にとっては、生まれた時より傍にいる妹のような親友。
百合姫も俺が女だと知る数少ない一人なのだが、その俺を、嫁にする! と堂々と宣言する黒に対しては反感しかないようだ。
三人集まれば自分だけが護られる対象であるのも嫌らしい。
「ん?」
ふと、耳に言霊が届いた。
式に下していなくても、《契約》した妖異や、神や鬼の類と声の送り合いが出来る。
妖力が高いものではないとその声は人語にはならないが、俺はそうではないものの声も聞くことが出来た。
それは母様ゆずりらしい。
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