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1 月夜の吸血鬼
side黎2
しおりを挟む真紅から離されようとした手を、摑み返す。
震えていた。
細く震えている。
申し訳ない? 顔向けできない? ……真紅に近づいたら、そんな風に思われるのか?
「……俺が真紅に浮気みたいな真似したから、申し訳ないって?」
「………」
真紅は首を横に振った。雫が飛んだ。
泣いて……いるのか?
「黎に……彼女いる……いたら………私、……」
「うん。言ってみ?」
「彼女さんに、申し訳ない……」
「どうして?」
「こんな、優しくされたら………だめってわかっても………れいの、こと、………すきになっちゃうじゃん……」
「―――」
「だから、そういう人がいるんだったらもう私のこと……
「それって」
両手で真紅の頬を包む。
上向いた真紅と視線が重なる。
「なりかけてくれているってこと?」
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