朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side咲桜19

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笑満には、夜々さんから聞いた症状の話を、全部した。

笑満と頼は同じ幼馴染、親友だけど、位置は全然違った。

笑満は、私だった。

話を聞いた笑満は、固い表情で唇を引き結んでいた。

そして、私に抱き付いて言った。

「心配しなくていいよ。あたしが咲桜の分まで、たくさん赤ちゃん産むから! だから、咲桜にも子育て手伝ってもらわないといけないくらい、たーっくさん! 産んじゃうから!」

まだ、永い片想いを遙音先輩にしていた頃の笑満の言葉だ。

このとき私は、笑満の傍らには遙音先輩を想像しながら、笑満の断言に微笑むことが出来た。

大丈夫。私は、こんな病気があっても大丈夫なくらい、強い人たちに囲まれている。

赤ちゃんを産む、産まないは、女性だけの判断ではない。

夫婦のものだ。

巡り合って愛し合った二人の決断。

他の人が立ち入るべきではない、神聖ですらある領域。

……だって、子供は絶対に授かれるものではないし、赤ちゃんを産むことは命がけだ。

お産で儚くなる母親だっている。

命をかけて、女性は子供を産むのだ。

それを、支えてくれる家族の存在もあって。

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