朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side流夜5

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「………っ」

床を蹴って、飛びついてきた。前より重みが少ない。背丈があるんだから軽すぎても心配になると何度も言ったのに。

「ごめんな、待たせて」

抱き寄せて、髪を撫でる。

いつもの艶もない黒髪。そこにまで憔悴しているのがわかった。

「咲桜、話したいことがある。俺のとこへ来てくれないか?」

咲桜は顔をあげて、見開いた瞳で俺を見上げる。

その首は力なく、ふるふると横に振られた。

……なにを言われるか、わかっているのだろう。

「お願いだ。……咲桜にしか、出来ないお願いがあるんだ」

そこまで言うと、咲桜は悲しげに口元を歪めて、俺の胸に顔を押し付けて来た。

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