朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side流夜19

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「今まで、色んなことを教えてくれてありがとうございました」

箏子さんを『師匠(せんせい)』と呼ぶ理由。日常のマナーから護身術。お茶のたて方、華道の基本。どれも咲桜の軸になっているようだ。

「私、流夜くんがすきです。だから、お嫁に行きたいです。師匠にも、認めてほしいです」

咲桜の声は落ち着いていて、柔らかかった。反して、箏子さんは悔しそうに顔を歪める。

「な、なんでこんなに早いんですかっ」

「先生。へそ曲がりも大概にしてくださいよ。そういう言い方ばかりするから、咲桜は嫌われると思ってしまったんでしょう」

在義さんに指摘されて、箏子さんは悔しそうに口を引き結んだ。

「……師匠?」

「あ、在義が認めた男性ならばと思っていましたが……ここまで狡猾(こうかつ)だと心配になりますよ」

「すみません。生まれつきです」

否定出来ないな。

「まあでも、だからこそ護れますよ? 色々から」

俺の言葉に在義さんが一つ肯いたのを見て、箏子さんは声を引いた。

「……帰ります」

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