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side流夜18
しおりを挟む怖い笑みが在義さんから降渡に投げられた。
降渡はあははー、と空笑い。降渡扮する『在義さん』が言っていた、『咲桜は私の娘です』という言葉は在義さん自身が発したものだ。
「あの……箏子師匠?」
「なんです!」
まだ気が収まらないのか、箏子さんは叫ぶように返して来た。
咲桜が思わずびくりと肩を震わせると、箏子さんは「あ……」と今の言動が失態だったように声をもらした。
「あ、の……困らせたわね。大きな声出して」
「い、いいえ……」
咲桜と箏子さんの間にぎくしゃくとした空気が流れる。
咲桜は困ると言うより、戸惑っていたんだろう。ずっと箏子さんには、嫌われていると思っていたから。
俺としては、あの時見た箏子さんの瞳でなんとく感じていた。
俺の存在――咲桜の恋人そのものを赦さない瞳だったから。
咲桜が、握っていた拳を解いた。
「……箏子師匠」
そして、ゆっくりと頭を下げた。
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