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side咲桜37

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まだ背筋の冷えが収まらない。

降渡さんの本当の瞳を見た気がしたからか。

いつもは優しさで覆われている降渡さんの本質。

本物の雲居降渡。

「―――」

はは。思わず空笑いが浮かぶ。けれど声は音にならず、私の喉奥に消える。

流夜くん以外で初めてドキドキした。勿論、恋愛なんかじゃない。生命の危機という意味で。

忘れていた。流夜くんや降渡さんが普段、あまりに普通過ぎるから。

その見えない隔絶の壁の向こう、こちらに薄闇をかけて見させないようにしている世界で、三人は―――……

ギリッと唇の端を噛んで、意識が思考の世界に持って行かれそうになるのを止めた。

今は先輩と笑満のことだ。

三人の所業に哀しい気持ちになっているときではない。

みんな辛いだけじゃないか、なんて考えるのは今じゃない。

今じゃない。

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