朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side咲桜24

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珍しく聞く大きな頼の声に振り返った。

笑満を少し離れたその場に置いて、一人で歩いてくる。

なんでいる?

「頼? 笑満も――
「帰るよ、咲桜。急いでんだろ」

怒った口調の頼が、私の腕を摑んだ。

「えっと――で、では」

「ええ、また」

司くんは最後まで悠然としていたのに対して、何故か頼が焦ったような顔をしている。

初めて見る顔だ。

司くんから離れて、まだ笑満の許までは着かない間に、頼が鋭い瞳を見せた。

「咲桜、あれが誰だか知らないし興味ないけど、近づかない方がいい」

「え? どうしたの」

「あれは普通じゃない。支配階級の生き物だ。俺たちとは、世界が重ならない人種」

「………えーと……」

困った。なんだその中世の仕組みみたいな言いようは。

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