朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side咲桜17

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背は私より高く、容姿は画を切り取ったようにつくりものめいて端麗。

文字通り、端々まで麗しく隙がない。

斜め上の空を見上げていて、私の視線には気づいていないのかそのままだ。

流夜くんは『美形』と称されることが多いとマナさんから聞いたことがあるけど――ついでに教えてくれた、三人の称を並べると、降渡さんは『美丈夫』、吹雪さんは『美人』と言われるそうだ。

最後は言ってはいけない一言なので、その称され方も高校以来聞かれなくなったそうだが――三人の方が人間じみている。

表情と体温と感情が見えるつくりをしているのに対して、青年は一切合切の感情も体温も持ち合わせていないように、しんとそこに立っている。

ただ、そこにいることが当たり前のように。

樹が、葉擦れ以外に揺れることなく泰然と構えているように。

ふと、青年の視線が下がった。

私はまだ青年の手前にいて、一瞬焦ってしまった。

いや、別に見ていたからと言ってそう怒られることもないはずだけど……怒られたら謝ろう。

今、自分は急がないと、

「華取咲桜さん、でしょうか」

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