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side咲桜17
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背は私より高く、容姿は画を切り取ったようにつくりものめいて端麗。
文字通り、端々まで麗しく隙がない。
斜め上の空を見上げていて、私の視線には気づいていないのかそのままだ。
流夜くんは『美形』と称されることが多いとマナさんから聞いたことがあるけど――ついでに教えてくれた、三人の称を並べると、降渡さんは『美丈夫』、吹雪さんは『美人』と言われるそうだ。
最後は言ってはいけない一言なので、その称され方も高校以来聞かれなくなったそうだが――三人の方が人間じみている。
表情と体温と感情が見えるつくりをしているのに対して、青年は一切合切の感情も体温も持ち合わせていないように、しんとそこに立っている。
ただ、そこにいることが当たり前のように。
樹が、葉擦れ以外に揺れることなく泰然と構えているように。
ふと、青年の視線が下がった。
私はまだ青年の手前にいて、一瞬焦ってしまった。
いや、別に見ていたからと言ってそう怒られることもないはずだけど……怒られたら謝ろう。
今、自分は急がないと、
「華取咲桜さん、でしょうか」
文字通り、端々まで麗しく隙がない。
斜め上の空を見上げていて、私の視線には気づいていないのかそのままだ。
流夜くんは『美形』と称されることが多いとマナさんから聞いたことがあるけど――ついでに教えてくれた、三人の称を並べると、降渡さんは『美丈夫』、吹雪さんは『美人』と言われるそうだ。
最後は言ってはいけない一言なので、その称され方も高校以来聞かれなくなったそうだが――三人の方が人間じみている。
表情と体温と感情が見えるつくりをしているのに対して、青年は一切合切の感情も体温も持ち合わせていないように、しんとそこに立っている。
ただ、そこにいることが当たり前のように。
樹が、葉擦れ以外に揺れることなく泰然と構えているように。
ふと、青年の視線が下がった。
私はまだ青年の手前にいて、一瞬焦ってしまった。
いや、別に見ていたからと言ってそう怒られることもないはずだけど……怒られたら謝ろう。
今、自分は急がないと、
「華取咲桜さん、でしょうか」
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