上 下
14 / 289

side咲桜13

しおりを挟む

通話が終わる。

幸せ報告だけでは終わらなかった。

自分が浸るような甘さの中にいたころ、笑満は一人思い悩んでいたのかもしれない。

至らない自分が歯痒かった。

笑満のおかげで、大切な時間を過ごすことが出来た。

じゃあ、自分に何が出来る? 笑満と、笑満の大切な人のために―――

「たぶん、頼り時」

「……え?」

登校するとすでに、頼が机で寝ていた。

その隣、窓枠に腰かけて頭の中を整理していると、頼からそんな声がした。

寝ていたと思っていた頼が重たそーな瞼を半分持ち上げて、こちらを見ていた。

「誰かさん」

欠伸とともに言われた、その言い方ではっきりとわかった。

次の瞬間にはこてんとまた、机にへばりついていた。

ちなみにこの学年主席、こんな授業態度なくせに遅刻欠席は一回もない。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

DARSE BIRTHZ。(ダースバース。)

十川弥生
ライト文芸
 これは世界の謎を解き明かす物語———。 私たちが住む日本とよく似た世界、日出国で起きたできごと。  2020.3.14、日出国上空に謎の球体が現れた。人々はそれをシュタインと名付けた。シュタインは化(ローザ)とよばれる化け物を産み出す能力を持っており、反対に人間は万物のイメージを能力にする理(イデア)を会得した。その者たちをこう呼んだ、起隕者と。  15年の時がたった2035年。主人公たちは化と交戦できる年齢15歳になった。その世代は起隕士の数が爆発的に多いニューエイジと呼ばれていた。ニューエイジと化の戦いが今始まる。    作中作画Microsoft Bing、十川弥生  

"わたし"が死んで、"私"が生まれた日。

青花美来
ライト文芸
目が覚めたら、病院のベッドの上だった。 大怪我を負っていた私は、その時全ての記憶を失っていた。 私はどうしてこんな怪我をしているのだろう。 私は一体、どんな人生を歩んできたのだろう。 忘れたままなんて、怖いから。 それがどんなに辛い記憶だったとしても、全てを思い出したい。 第5回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

晴れた世界にさよならを

シバ
ライト文芸
 少し先の未来、今とは違う技術が蔓延している中、今と変わらずに過ごしている学生たちは、何を考え、何に悩み、何を目的に生きているのか。  悩みは違っても青春は変わらない。自分たちより少し先の未来の話……

その後の愛すべき不思議な家族

桐条京介
ライト文芸
血の繋がらない3人が様々な困難を乗り越え、家族としての絆を紡いだ本編【愛すべき不思議な家族】の続編となります。【小説家になろうで200万PV】 ひとつの家族となった3人に、引き続き様々な出来事や苦悩、幸せな日常が訪れ、それらを経て、より確かな家族へと至っていく過程を書いています。 少女が大人になり、大人も年齢を重ね、世代を交代していく中で変わっていくもの、変わらないものを見ていただければと思います。 ※この作品は小説家になろう及び他のサイトとの重複投稿作品です。

『Happiness 幸福というもの』 

設樂理沙
ライト文芸
息子の恋人との顔会わせをする段になった時「あんな~~~な女なんて 絶対家になんて上げないわよ!どこか他所の場所で充分でしょ!!」と言い放つ鬼畜母。 そんな親を持ってしまった息子に幸せは訪れるでしょうか? 最後のほうでほんのちょこっとですが、わたしの好きな仔猫や小さな子が出て来ます。 2つの小さな幸せを描いています。❀.(*´◡`*)❀. 追記: 一生懸命生きてる二人の女性が寂しさや悲しみを 抱えながらも、運命の男性との出会いで幸せに なってゆく・・物語です。  人の振れ合いや暖かさみたいなものを 感じていただければ幸いです。 注意 年の差婚、再婚されてる方、不快に思われる台詞が    ありますのでご注意ください。(ごめんなさい)    ちな、私も、こんな非道な発言をするような姑は    嫌いどす。 ・(旧) Puzzleの加筆修正版になります。(2016年4月上旬~掲載) 『Happiness 幸福というもの』  ❦ イラストはAI生成有償画像 OBAKERON様 ◇再掲載は2021.10.14~2021.12.22

「2人の青、金銀の護り」 それはあなたの行先を照らす ただ一つの光 

美黎
ライト文芸
先祖が作った家の人形神が改築によりうっかり放置されたままで、気付いた時には家は没落寸前。 ピンチを救うべく普通の中学2年生、依る(ヨル)が不思議な扉の中へ人形神の相方、姫様を探しに旅立つ。 自分の家を救う為に旅立った筈なのに、古の予言に巻き込まれ翻弄されていく依る。旅の相方、家猫の朝(アサ)と不思議な喋る石の付いた腕輪と共に扉を巡り旅をするうちに沢山の人と出会っていく。 知ったからには許せない、しかし価値観が違う世界で、正解などあるのだろうか。 特別な能力なんて、持ってない。持っているのは「強い想い」と「想像力」のみ。 悩みながらも「本当のこと」を探し前に進む、ヨルの恋と冒険、目醒めの成長物語。 この物語を見つけ、読んでくれる全ての人に、愛と感謝を。 ありがとう 今日も矛盾の中で生きる 全ての人々に。 光を。 石達と、自然界に 最大限の感謝を。

おにぎりが結ぶもの ~ポジティブ店主とネガティブ娘~

花梨
ライト文芸
ある日突然、夫と離婚してでもおにぎり屋を開業すると言い出した母の朋子。娘の由加も付き合わされて、しぶしぶおにぎり屋「結」をオープンすることに。思いのほか繁盛したおにぎり屋さんには、ワケありのお客さんが来店したり、人生を考えるきっかけになったり……。おいしいおにぎりと底抜けに明るい店主が、お客さんと人生に悩むネガティブ娘を素敵な未来へ導きます。

処理中です...