朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

文字の大きさ
上 下
8 / 289

side咲桜7

しおりを挟む

「うん。ありがと。笑満のおかげで一緒にいられたよ」

『それは咲桜、在義パパのおかげでしょ。在義パパからお許しなかったらあたしがどう動いたってムリだったんだから』

……確かにそうだ。妙に納得して、真顔で「なるほど」と肯いてしまった。

『あはは。今度在義パパにも作ってあげたら? ケーキ。龍生さんの味だったら慣れてるかもしんないけど』

「そうだね。そうする」

龍生さんが作るものは、正しくは『光子さんの味』だ。

……夜々さんから伝え聞いた話だけど、光子は在義父さんを苦手としていたと言うか……あまり好意的には見ていなかったらしい。

在義父さんと龍生さんがつるんでいるのは常のこと。

そこに夜々さんがいるのもいつもの風景。

いつの頃からかそこに光子さんが混ざるようになったのだけど、光子さんは在義父さんには一線を引いて、決してそれを越えようとしなかったそうだ。

『在義兄さんは、芯が燃えているように強(こわ)くつよい人だからね、そういう人に、恐怖心ていうのかな……畏怖心とも言うのかしら、抱いてしまう人っているのよ。それが、龍生兄さんの恋人の光子さんだったの』

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

北野坂パレット

うにおいくら
ライト文芸
 舞台は神戸・異人館の街北野町。この物語はほっこり仕様になっております。 青春の真っただ中の子供達と青春の残像の中でうごめいている大人たちの物語です。 『高校生になった記念にどうだ?』という酒豪の母・雪乃の訳のわからん理由によって、両親の離婚により生き別れになっていた父・一平に生まれて初めて会う事になったピアノ好きの高校生亮平。   気が付いたら高校生になっていた……というような何も考えずにのほほんと生きてきた亮平が、父親やその周りの大人たちに感化されて成長していく物語。  ある日父親が若い頃は『ピアニストを目指していた』という事を知った亮平は『何故その夢を父親が諦めたのか?』という理由を知ろうとする。  それは亮平にも係わる藤崎家の因縁が原因だった。 それを知った亮平は自らもピアニストを目指すことを決意するが、流石に16年間も無駄飯を食ってきた高校生だけあって考えがヌルイ。脇がアマイ。なかなか前に進めない。   幼馴染の冴子や宏美などに振り回されながら、自分の道を模索する高校生活が始まる。 ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・オーケストラそしてスコッチウィスキーや酒がやたらと出てくる小説でもある。主人公がヌルイだけあってなかなか音楽の話までたどり着けないが、8話あたりからそれなりに出てくる模様。若干ファンタージ要素もある模様だが、だからと言って異世界に転生したりすることは間違ってもないと思われる。

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。

なばり屋怪奇譚

柴野日向
ライト文芸
死神にモクリコクリ、すねこすりに骸骨駅長。 東雲彰と柊晴斗は、そんな人ではない者たちが訪れる店、なばり屋を営んでいる。 時には人からの相談事を受け付けながら、彼らは少し変わった日常を過ごしていた。 そんななばり屋に、ある日一人の男が客としてやって来る。 彼は田舎の家に潜む怪奇現象に悩まされ、その原因を祓ってほしいというのだが――。 少し悲しくどこか愉快な、あやかし達との日常物語。

御手洗さんの言うことには…

daisysacky
ライト文芸
ちょっと風変わりな女子高校生のお話です。 オムニバスストーリーなので、淡々としていますが、気楽な気分で読んでいただけると ありがたいです。

あやかしよりまし

葉来緑
ライト文芸
超自然的存在・妖(あやかし)が見える少年──稲生修一郎と、 様々な種類の妖達の物語。 ある日、修一郎は一人の少女に出会う。少女は自分の事を、 “座敷わらし”だと話すが…… ■2006年に一般公開されたサウンドノベルのテキスト版です。 のちにアプリ版の際に追加されたシナリオが含まれます。 ※全六日+追加エピローグで本作は完結してます。 七話以降の【あやかしよりまし逢魔】は2008年に公開された後日譚であり、続編です。 「連載中」に変更し、少しづつアップロードしていきます。 1作目の四、五倍ほどのボリュームでかなりの長編です。 作中の”一日”のテキスト量が2万字以上とかなり多いので、今後は分割していくと思います。 あらかじめご了承ください。

【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一
ライト文芸
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。 織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。 彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。 ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。 学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。 これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。 カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

手紙屋 ─ending letter─【完結】

Shizukuru
ライト文芸
終わりは突然、別れは必然。人が亡くなるとはそう言う事だ。 亡くなった人の想いの欠片が手紙となる。その手紙を届ける仕事こそ、黒須家で代々受け継がれる家業、"手紙屋"である。 手紙屋の見習いである黒須寧々子(JK)が仕事をこなしている時に、大事な手紙を白猫に取られてしまった! 白猫を探して辿り着いた神社で出会ったのは……金髪、カラコン、バチバチピアスのド派手な美形大学生だった。 顔はいいが、性格に難アリ。ヤダこの人と思ったのに……不思議な縁から始まる物語。

飛び立つことはできないから、

緑川 つきあかり
ライト文芸
青年の不変なき日常に終わりを告げるように、数多の人々が行き交う廊下で一人の生徒を目にした。 それは煌びやかな天の輪っかを頭に載せて、儚くも美しい女子に息をするのさえ忘れてしまう。 まるで天使のような姿をした少女との出逢いが、青年の人生を思わぬ形で変えていくことになる。

処理中です...