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2 当代最高峰の陰陽師

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「ごめんなさい……苦しいことを思い出させてしまって……」

美也の言葉を聞いた榊が、はっとした様子で見てきた。

「でも、責任なんて言わないでください……。榊さんは、きっと精一杯のことをしてくれたって、私がわかってますから」

「美也……」

両親が亡くなったことを、過去のことだからどうしようもない、とは言えないけれど、榊は責める相手ではない。

「きゃーっ、いい雰囲気―っ」

雰囲気台無しの小さな男の子の高い声である。

べちっと開斗が榊に頭をはたかれた。

「ひどーい! 暴力だー!」

今度は、開斗は手で頭を押さえる。

開斗はやはり、榊に対して応援的なんだか反抗的なんだかわからない。

「開斗。いい加減にしないと美也をうちに連れてきてもお前には会わせないぞ」

「ひーどーいー! 横暴だー! 巫女さまー! 榊さまがあくどいですー!」

「あ、あはは……開斗くん、榊さんと仲いいね」

話を逸らすしかなかった美也の言葉を聞いた開斗は、泣いていた顔をぱあっと明るくさせる。

「はいっ! 榊さまさびしんぼだから僕が遊び相手してあげてるのですっ」

「お前修行辞めて帰るか?」

「ぎゃーっ! ごーめーんーなーさーい!」

それまで美也の腕に巻き付いていた開斗が、ぴゅっと空へ飛んで行ってしまった。

「えっ、開斗くん!?」

「気にするな。先に家に帰ってるだけだ」

「で、でも……」

「うちには俺が作った使役がいて雑務をしてもらっているんだが、開斗はそいつに懐いてるんだ。俺と言い合いになると大体泣き付いてる」

「そう、なんですか……?」

それでいいのだろうか。だが、開斗を預かっている榊にも教育方針はあるだろう。

「それから、『龍波神社』ってわかるか?」

「たつなみ神社? ですか?」

「そう。今は無人の神社なんだけど、そこが一応、俺の拠点なんだ。というか、美也がいるから近くに来たんだ」

「……へっ!?」

「美也のそばにいたくて、近くに来た。人間はこういうのをストーカーと言うのだったかな?」

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