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2 当代最高峰の陰陽師

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「え……私、榊さんと結婚するんですか………………?」

「えっ……い、いや、だったか…………?」

美也の疑問に対し、榊も疑問をぶつけてきた。

美也は考えたこともない話に驚いたし、榊は美也の反応に驚いた。

「白桜も榊様も、言い回しがまどろっこしいのよ。ストレートに、榊様は美也さんを花嫁に迎えることを、天界の龍神様たちに望まれていて、榊様もそうするつもりだったって言えばいいのに」

率直な百合緋の言葉に、数瞬遅れて美也は顔を真っ赤にさせた。

そ、そういう意味であっていたのか………。

「なんというか榊は、美也嬢が関わると途端に人間じみてくるなあ……」

白桜が、めちゃくちゃ平坦な目でそう感想した。

「た、確かに俺は何千年と生きてる、人間から見たらくそじじいかもしれないが、美也に年令を合わせるために見た目を変えることは出来る」

「くそじじいって自分で言うんだ」

平坦な目でははっと笑う、この感想も白桜だ。

白桜はなんだか、問題の中心から退いて傍観者に徹し始めた節がある。

「う………」

「う? うざい? 失せろ? うるさい?」

ふと、今までこの場になかった小さな男の子のように高い声がそう言った。

言いかけていた美也は、え? と振り向く。

そこにいたのは。

「榊様はうざいですか? 失せろって思ってますか? うるさいですか? 巫女さまあああああああ!」

悲鳴をあげている――……白桜の腕に巻き付いた、小さな龍がいた………。

水色のうろこを持ち、青灰色の瞳、白桜が腕を伸ばしたくらいの長さで、ちょこんとくっついている手を目元にやり、ぼたぼたと泣いていた。

(え……もしかしてこの子が、使い龍……?)

美也が固まっていると、水色の龍はまた口を開く。

「確かに榊さまはくそじじな年齢で今まで奥方がいたこともなく女性心には疎すぎて巫女さまにはうざいくらい過保護で嫌な思いばかりしているかもしれませぬが、どうぞ見限らないでくださいませええええええ!」

「………」

美也、ぽかんとしてしまった。

「美也さん? どうしたの?」

美也には使い龍の姿は見えていないと思っている百合緋が訊いてきた。

だが、主人である榊を置いて陰陽師を頼って行動してしまう勢いや、思い込みの激しさが白桜の説明から垣間見えていたので、この子が使い龍で間違いないと思った。

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