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2 当代最高峰の陰陽師

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「は、はい……」

美也は半ば呆然としながらうなずいた。ここまでくると、なるようになれと思ってしまう。

百合緋が導く形で、三人は歩き出した。天音は一番後ろをついてくる。

ただ、ひとつ確認しておきたかった。

「あの、水旧さん……」

「百合緋でいいですよ」

「……百合緋さん、どうして今日、私が来るってわかったんですか……?」

美也は、月御門という家の場所は教えられたが、百合緋と個人的に連絡が取れる方法はなかった。

だから、地図を頼りに月御門なる家まで行こうと思っていたら、見計らったように百合緋が駅にいた。

不思議でしかない。

百合緋はにこにこと答えた。

「白桜――月御門の当主が、そう言ったからです」

「……当主?」

当主って、時代劇とかに出てくるようなやつだろうか。

おじが、時代劇が好きでテレビで流していることがある。

「そう、月御門家の宗家である、御門流の当主が、私と同い年で一緒に住んでるんです。その人の言葉だから、私は疑わずに駅に行ったら、ぴったり美也さんが来たんです」

月御門は陰陽師だと言っていた。

美也は深く突っ込んで確かめねばならないことが多すぎて、どこから聞いて行けばいいのか頭の中で整理できなくなっていた。

色んな情報がぐるぐるしている。

「美也さんは今、何年生ですか?」

「あ……中学三年です」

百合緋が自己紹介のような簡単な話題を振ってくれたので、美也の脳内が少し落ち着いた。

「私高一だから、ひとつ上なんですね。美也さんって呼ばれるのは抵抗あります?」

年上だった。百合緋は小柄だけど、すごく落ち着きがあると美也は感じていた。

「いえ、なんだか……その……」

「うん、言って大丈夫ですよ?」

百合緋はゆっくり歩きながら、丁寧に対応してくれる。美也の視線は足元へ下がる。

「その……まだ現実味がないと言いますか……。百合緋さんは、陰陽師? なんですか?」

「あ、わたしは違うわ。わたしは月御門と縁のある家の人間で、わけあって月御門にお世話になってるんです。わたしはそうね……榊様のお供さんのおつかいを任された感じかしら」

(……また榊さんのこと、榊様って言った……)

百合緋は、榊の正体を知っているのかもしれない。

陰陽師に関係のある家の人が知っているとは……。

「じゃあ……榊さんとお知り合いなんですか……?」

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