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2 当代最高峰の陰陽師

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「ま、間に合ったーっ」

始業のチャイムぎりぎりに、美也は教室に駆け込むことができた。

「おはよ美也。どーしたの、こんな時間って初めてじゃない?」

「おはよ~。今朝、寝過ごしちゃって……」

話し掛けてきた前の席の友達に、驚いた顔で言われた。

美也は、あははと笑って誤魔化す。

ほとんど眠れなかった美也は朝、いつも起きる時間より遅くなってしまった。

それでも愛村の三人が起きてくるよりは早かったけど、慌てていつもの朝の支度を終わらせた。

だが、榊と約束した時間を作ることは出来なくて、榊が言った神社に寄る時間もなく学校へ走ってきたのだった。

(榊さんにはいつも逢いたかったはずなのに……逢えない状況になってほっとしてる、私……)

自分の席について、そう自覚した。

すぐに担任が入ってきて、いつも通りの『学校』が進んでいく。

日常の中に身を置いて、榊の存在がいかに浮いていたのか、改めて感じてしまった。


+++


(帰りは早く帰らなくちゃいけない……って榊さんもわかってるよね……)

朝、逢いに行けなかったことを謝るべきだろうと思いつつも、状況がそう出来ないことを理由に、榊に逢うことが出来ない言い訳を作った。

……こわかったから。

榊が人ではないと疑っていて、それが本当だったときのことが。

自分がどうにかなってしまうんじゃないか、より、榊との今までの関係が壊れることが怖かった。

一人、考えながら帰り道を歩いていた。

「ちょっと、どこへ連れて行くの?」

ふと、女性の声が聞えた。

柔らかくて、優しくて、聴き心地のいい声だ。

今歩いている場所は住宅街なので、どこかの家から出てきたとか、距離的に聞こえる位置を歩いている人だろうと思って、美也はただまっすぐ歩いていたら。

「あら? あの方? あの……」

と、前方からやってきた人が立ち止まって、美也を見てきた。

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