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六 わりーわりー、足が滑った。
side咲桜12
しおりを挟む「ぐう――
「あまり過度にし過ぎてばれないように、ね? 華取さん」
宮寺先生は口元に一本指を立てて、微笑んだ。
そのまま戻って行ってしまう背中を見て、流夜くんが呟いた。
「なんとか、か……」
「え?」
背後を見上げると、流夜くんは苦笑していた。
「咲桜のおかげでなんとか逃れた。今日はもう帰るだけか?」
「あ、うん」
笑満は、今日は遙音先輩と一緒だから……。
そう続けると、流夜くんはそっとささやいてきた。
「じゃあ、先に旧館入っててもらえるか? 五分したら俺も行くから」
「!」
嬉しさが舞い過ぎて、声が出なくて必死に肯いた。
「目立たないようにな」
こくこくと肯いて、努めて目立たないように――歩き方がぎこちなくてむしろ目立ちそうだけど――人気のない放課後を歩いた。
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