276 / 299
六 わりーわりー、足が滑った。
side咲桜5
しおりを挟む途中まで饒舌(じょうぜつ)に話してくれたのに、宮寺先生はふつりと言葉を切ってしまった。
たぶん、私事に関わることを言いかけたのだろう。
『在義父さんを通して神宮先生とは知り合い』、という設定の話は結局、宮寺先生にしていないから知らないことだと思っているのだろう。
……この辺りで明かしておくかな?
「――華取さん、神宮のこと、気になる?」
「え? なんでですか?」
ドクッと、心臓が一度大きく鳴った。
「いや、今の返しがね? もしかして神宮のこと知ってたんじゃないかなって思って。あ、俺の勝手な見方なんだけど、それで、神宮と親しい仲ってことは……ないよね? ……もし、教師とか生徒とか関係なしに恋愛感情があるなら、あいつだけはやめておいた方がいいよ」
「――――」
観察眼。図抜けている。
――そんなもの、あるに決まっているじゃない。
だって流夜くんは、一生かけてすきでいる人なんだから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる