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五 タチが悪いタイプの天才だ。
side咲桜62
しおりを挟む流夜くんほど生きていないから、私はまだキライだ。
流夜くんほどの人と出逢えたのに、まだキライだ。
恋人で、大すきな人で、愛してると言ってくれる人で、愛していると言える人がいても。
私はこの世界が大っ嫌いだった。
この世界にしか、流夜くんはいないのに。
ここにいなかったら、出逢えていなかったのに。
本当に? 流夜くんは言ってくれた。
在義父さんの娘でなくても、自分は咲桜のことをすきになっていたと。
私だって。私だって、流夜くんがずーっと先生という対象でも、すきになっていた。
そう言いきれる自信、あるよ。
なんとなく感じる、波の存在。
「……流夜くんすきなおまけに」
おまけでもいいから、この世界を、すきになりたいと思った。
流夜くんがいて初めて、桜の花を綺麗だと思えたから。
こうやって――その腕に抱き留めてくれる存在のありがたさを、噛みしめながら。
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