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五 タチが悪いタイプの天才だ。

side流夜7

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「………てめえはヒトの質問もぶっ飛ばさねえと会話出来なかったか……?」

「お前と会話する気ねーから。俺の質問に答えてくれ」

「ここじゃなかったら歯ぁ折ってんぞ」

「それは。ここにして命拾いしたよ。んで、藤城で何か企んでるわけ?」

「………」

睨みつけても動じない。

宮寺は俺からのこんな目つきは慣れている。

「……何も企んじゃいない。……理由の一つは、美流子を探しているだけだ」

「ああ……」

その一言で、宮寺は納得したと肯いた。

俺らの側に頭から突っ込んできた旧知は、俺の状況も降渡たちから学生時代に聞いていた。

「それなら、『そうか頑張れ。藤城は俺の母校だから何か出来ることがあったら力になるぞ』――って言ってやれんだけど。生憎お前はそういうキャラじゃないもんな」

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