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五 タチが悪いタイプの天才だ。
side咲桜20
しおりを挟む「華取――さん。咲桜さん?」
宮司先生の一回目の講義が終わった日のことだ。
遺伝子学を主軸にした宮寺先生の講義は、進むにつれ私にはちんぷんかんぷんだったけど、笑満の興はそそったようだ。
頼は今日も眠そうで反応はないけど、このままでは終わらせない。
教師の語る以上のものを得る奴だ。
私も、わけがわからないままでは終わらせたくない。
わからなかったことが予備知識がないせいなら、復習すればいい。
最終授業の時間にあてられたから、下校の時間にまだ宮寺先生はいたみたいだ。
帰るために降りて来た職員室のある一階で声をかけられ――名を呼ばれ、振り向いた先にいたのが宮寺琉奏先生だった。
え、うそ――なん、で?
宮寺先生と個人的な面識はない。
なのに、何で名前を呼ばれ、しかも顔まで割れている?
「あ、はい――」
やや警戒して、緊張した声で応えた。
「いきなりすみません。華取咲桜さん、だよね?」
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