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五 タチが悪いタイプの天才だ。

side頼7

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でも、正面切って見せてやる、これが、笑満が咲桜に懐いている理由。

咲桜が笑満を手放せないでいる理由。

「っつーわけです。俺に訊いたのは正解かもね。咲桜も笑満も、あれは客観性を持っては話せない」

終わりです、と使っていた椅子を片付けだす。

「にしても、あんたって綺麗好き? 旧校舎って汚ねえのにこの部屋はキレ―」

「……最低限に片付けてるだけだ」

「ふーん。ま、汚ねえとこに咲桜を送るのもやですけどねー」

ああ、それから。

「俺があんたのことチクらねえの、咲桜のためでしかないっすからね。もし付き合ってんのが他の生徒だったら、俺は即刻あんたを通報しますよ。不良教師―つって」

「………」

目線だけ鋭く、先生を射る。

「――咲桜に助けられたと思えよ、あんた」

布告。

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