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二 それでも君は咲桜を望むのか?

side咲桜17

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私が呼びかけなくても、ふとこちらを見る瞳は、表情は、それまでと全然違ってくる。

それまで宿っていた三日月のように鋭い光から、満月に薄い衣がかかったような柔らかさの光の瞳。

瞬き一つで、流夜くんは雰囲気まで変えてしまう。

咲桜、おいで。そう呼んで、手を差し出す。

私がそれを取らなかったことはない。

導かれるように手を重ねて、驚く間もなく抱き込まれてしまう。

流夜くんならぜんぶ、大すきだから……。

今日淋しいのは、自分を優先してくれなかったことではない。

それが多忙な職業だとわかっている。

ずっと在義父さんの背中を見て来たのだから。

……ただ、逢えないことが淋しい。

昼間、宮寺先生が現れた件で旧校舎に近づけなかった。

流夜くんの担当授業もなかった。

姿を見られたのは宮寺先生ぶっ飛ばし連行のときだけだ。

今までが逢え過ぎていたのかな? 普通の恋人はもっと遠いものなのだろうか。

……そういえば……。

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