上 下
50 / 299
二 それでも君は咲桜を望むのか?

side流夜10

しおりを挟む

「知らねーよ。降渡に訊け」

「……もう連絡取ってないのか?」

「俺は一度も取ったことない。絆ははじめっから降渡の」

「……そこに邪魔したのはお前だろ」

「邪魔なんかしてねーよ。……何度も言うけど、俺は絆を振ってもないし弄んでもない。俺が知る限り、絆は降渡しか眼中にない」

「そこに割って入ったんだろ、お前が」

「違うつってんだろ」

声にイライラが混じってくる。

これ、何年越しのやり取りだろうか……。

もう面倒くさい域だ。

「それから、今はちゃんと婚約者いるから」

「………は?」

俺の言葉に、宮寺は間抜けな目を返してきた。

「誰に」

しおりを挟む

処理中です...