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三 いてくれて、本当によかった。
side咲桜2
しおりを挟む「あ……ごめん……」
声もか細く揺れている。
「その……事件のこと、とかは……あんまり考えてなかったかもしれない……」
遙音くんのことでいっぱいになっていた。そう言うように、笑満は顔を歪ませた。
「……じゃあ、これだけ言うね? 犯人のアリバイを崩したのが流夜くん。居場所を見つけたのが降渡さんで、最後に仕留めたのは吹雪さん。なんだって」
「……アリバイ?」
「うん。犯人にはアリバイがあって、一度容疑者から外れた。それを破ったのが流夜くん。その流夜くんに助けを求めたのが、遙音先輩」
「………」
「それだけ知ってれば十分かな? あとは放課後まで待とうか」
やっぱり夜々さんに相談を――
「ううん、昼休み、行く」
今度の笑満の声は決然としていた。
手の震えは止まって見えた。
「あたしから言うの変かもだけど、流夜くんにお礼、言いたい」
遙音くんを助けてくれてありがとう、って。
そう口が動くのを見て、私はしっかり肯いた。
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