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二 だったらそれは、
side流夜14
しおりを挟む『……うん』
「そうしたら顔も見えるしな」
『うん』
「でもダメなときは電話するかもしれない」
『そうなのっ? え、どっち?』
「さあ。自分でもよくわからない」
『……むー』
本当にわからないんだ。咲桜への感情は、名前がはっきり摑めない。
「とりあえず、今日はもうおやすみ。あまり遅くなるなよ」
『……はい。流夜くんはまだ外?』
「ああ」
『気を付けて』
「ありがとう。おやすみ」
『おやすみなさい』
意を決して、電話を切る。
一応ではあるが、心配はなくなった。咲桜の声を聞けた安心感もある。
「流夜って乙女なんだね」
「!」
すぐ近く、角を曲がった先に吹雪がいた。
「お前……」
いつからそこにいた。
「結構最初から聞いちゃった。流夜ってアホだったんだね」
「………」
今はその言葉も否定出来なかった。
「流夜、今日はもう帰りなよ」
「は? まだやること残ってんだろ――」
「僕の周りに」
吹雪は冷えた瞳で睨んできた。
「色ボケバカはいらない。邪魔だ」
「……お前相変わらずひでーな」
よくそんな毒舌ばっかりでいられるよな。
「少しは傷付きなよ。色ボケばーか」
今度は呆れたものを見る瞳で見られた。
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