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バレンタイン短編
side咲雪10
しおりを挟むお父さんが泣き上戸なのは否定出来ない。
何かというとすぐ涙ぐんで、ドキュメンタリーとかすごく弱い。
お母さんは常にハンカチを持っているようになった。
その点光司お父さんはさっぱりしていると言うか、落ち着いていると言うか。
たまに光司お父さんの方がお兄さんなんじゃないかなと思うこともある。
お父さんは未だに『咲雪ちゃん』と『晃くん』呼びなんだけど、光司お父さんは割とすぐに『咲雪』と『晃』って呼び捨てで呼んで来た。
私としては将来のお父さんだし、むしろ嬉しかったんだけど、お父さんはなんで父親の自分より先に呼び捨てるか! って光司お父さんに怒ってた。
お父さんもさっさと呼び捨てにすればいいのにって思ったけど、お父さんはそういうのが恥ずかしいみたいだ。
兄弟ってああいうものなのかな? 旭との兄妹歴の短い私としては重要参考案件だ。
「あ~美味し~」
奏子さん、早速食べてくれている。なんか照れてしまうな。照れ誤魔化しに、話を振った。
「晃くんが作ってくれたチョコの方が美味しかったですよ」
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