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バレンタイン短編

side咲雪5

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お互いの親の結婚で終わった二人だけの同居生活。

私たちの関係は仲のいい友達から恋人になった。

帰り道で渡したんだけど……も、もっとこう雰囲気あるときがよかったのかな? 甘い? 色っぽい? わ、私とは縁遠すぎる……!

「晃くん?」

顔の前で手を振ると、晃くんは手の甲で口元を隠した。

「……いいの?」

「へ?」

「……俺がもらって、いいの?」

「こ、晃くんにもらってもらえないと困ると言うかこれの行き場がなくなると言うか――」

泣きながら自分で食べる羽目になると言うか……。

晃くんは、そっと私の手から包みを受け取った。

「ありがと」

「こちらこそ!」

「……もう一つ、欲しいのもがあるんだけど」

「なに? 私から贈れるものならなんでも!」

「……さゆと二人きりの時間」

「……―――」

私の時間なんて、全部晃くんのものなのに?

「あ、あのね?」

「ん?」

「こ、今年は、奏子さんと、光司お父さんの分も作って来たの。……渡しに、お邪魔してもいい?」

「……うん」

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