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キモチ11 side晃
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「……晃?」
「えーと、久しぶり?」
前と同じようなセリフだった。
琴に話しかけたのは、好意があったからとかではない。
ただ、俺のごく身近に仲のいい幼馴染(男女の組み合わせ)がいて、少し羨ましいと思っていた。
でも俺の過去を知っていて親しくしてくれる存在なんてそうそういない――と思っていたところへ、クラスメイトだった琴と再会した。
琴は俺の家庭にあったことを憶えていても、俺を腫物扱いしたりしなかった。
もしかしたら俺にも、巽にとってのさゆみたいな存在が出来るのかもしれない……と、恋愛は全く関係しない、淡い期待を抱いていた。
「あ……久しぶりだね。晃もこの学校だったんだ」
一年半ぶりに逢った琴は、茶色が勝った黒髪になっていた。
「うん。琴……ヤンキーはやめ――
「スト――――ップ! ここでそれを言うんじゃないバカ!」
ヤンキーはやめたのか? と訊こうとした途端、タックルを受けた。おまけにバカ呼ばわり。
そして俺の顎に琴の頭が当たった。いてえ。
――この瞬間、こいつは絶対巽にとってのさゆみたいな存在になるわけがねえと、その夢は自分で打ち砕いた。
そして琴がちょっと嫌いになった。
「えーと、久しぶり?」
前と同じようなセリフだった。
琴に話しかけたのは、好意があったからとかではない。
ただ、俺のごく身近に仲のいい幼馴染(男女の組み合わせ)がいて、少し羨ましいと思っていた。
でも俺の過去を知っていて親しくしてくれる存在なんてそうそういない――と思っていたところへ、クラスメイトだった琴と再会した。
琴は俺の家庭にあったことを憶えていても、俺を腫物扱いしたりしなかった。
もしかしたら俺にも、巽にとってのさゆみたいな存在が出来るのかもしれない……と、恋愛は全く関係しない、淡い期待を抱いていた。
「あ……久しぶりだね。晃もこの学校だったんだ」
一年半ぶりに逢った琴は、茶色が勝った黒髪になっていた。
「うん。琴……ヤンキーはやめ――
「スト――――ップ! ここでそれを言うんじゃないバカ!」
ヤンキーはやめたのか? と訊こうとした途端、タックルを受けた。おまけにバカ呼ばわり。
そして俺の顎に琴の頭が当たった。いてえ。
――この瞬間、こいつは絶対巽にとってのさゆみたいな存在になるわけがねえと、その夢は自分で打ち砕いた。
そして琴がちょっと嫌いになった。
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