上 下
22 / 221

カミナリ6 side咲雪

しおりを挟む
ていた? 凛ちゃんと声がそろってしまった。琴ちゃんは顔を振り上げる。

「なーっ! ほんと晃のデリカシーないとこキライ!」

そう叫んでから、ふうっと空気が抜けるように息を吐いた。

「……そうだよ。琴、中学んとき不良だったの。ヤンキーだったの。一匹狼だったの。でも高校に入ったら真面目になろうと思って、知ってる人のいない学校に入ったら晃がいるし、晃は琴の黒歴史知ってるし、挙句の果てに咲雪ちゃんと仲いいし! さっきから『さゆ』って呼んでるよね!?」

「俺の方が琴よりさゆと仲いいからかな」

「くっそむか!」

「こ、琴? ちょっと落ち着け。血圧あがりすぎだろ、お前」

凛ちゃんが隣から、今度は琴ちゃんの肩をつかんだ。

その凛ちゃんをぎっと睨む琴ちゃん。今まで見たことないくらい鋭い。

この琴ちゃんがやんきーだった……? ……ありだな。ギャップ萌え? ってやつか!

可愛くてふわふわしている琴ちゃんの鋭い一面を見て、更に琴ちゃんが大好きになった。

あ、でも悪いことはしていたのかな。犯罪になってしまうこととか……。

「琴ちゃん」

「う……な、なに? 咲雪ちゃん……」

琴ちゃんが、そろりと私を見て来た。

「ヤンキーな琴ちゃんは、警察に捕まるようなこともしてたりしたの?」

「うう……凛ちゃん~! 咲雪ちゃんが純粋過ぎて真っ直ぐ過ぎて直視できないよ~! 琴はけがれている!」

それってやっぱり……凛ちゃんの腕に抱き付く琴ちゃんをはらはらした気持ちで見ていると、さゆ、と晃くんに呼ばれて視線をうつす。

「琴は中学んときは仲間とか作らないで、売られた喧嘩は買うってタイプだったみたいだ。傷害には引っかかるかもしれないけど、それ以上のことはないって聞いてる。窃盗とか脅迫はないって」

「誰に聞いたの?」

「中学んとき逢った本人」

晃くんもしっかり確かめていた。

「そうだよ」

ふっと、琴ちゃんが真剣な様子で顔をあげた。

「琴、殴り合いは得意なの。だからこの間男を一発殴らないと気が済まない」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

頑張らない政略結婚

ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」 結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。 好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。 ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ! 五話完結、毎日更新

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。

天織 みお
恋愛
「おめでとうございます。奥様はご懐妊されています」 目が覚めたらいきなり知らない老人に言われた私。どうやら私、妊娠していたらしい。 「だが!彼女と子供が出来るような心当たりは一度しかないんだぞ!!」 そして、子供を作ったイケメン王太子様との仲はあまり良くないようで――? そこに私の元婚約者らしい隣国の王太子様とそのお妃様まで新婚旅行でやって来た! っていうか、私ただの女子高生なんですけど、いつの間に結婚していたの?!ファーストキスすらまだなんだけど!! っていうか、ここどこ?! ※完結まで毎日2話更新予定でしたが、3話に変更しました ※他サイトにも掲載中

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

最悪なお見合いと、執念の再会

当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。 しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。 それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。 相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。 最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。

処理中です...