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4 すれ違い
side想10
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「びっくりした」
今日はいつも通り、美結と二人の帰り道。美結は長い息をともに吐き出した。
「愚弟が美結にまで被害こうむって申し訳ない……」
「そんなことないし、そこじゃないよ」
「じゃあ、どこ?」
「想が……」
「俺?」
「………」
身を屈めて美結の顔を覗き込むと、顔はそのままに目線だけ逸らされた。え……俺、なんかしちゃったかな……。
「想、が……なんか、妬く、みたいなこと言ったから……」
「………」
ああ。慧のことコロスって言ったやつかな?
「妬くよ? 兄さんにも妬いてたから」
「お兄ちゃんに!? 私、お兄ちゃんと仲良くないよ?」
「そうかなー。あ。あと、実はさっき、尚に足踏まれてたんだよ?」
「えっ?」
「足のケガが尚の選手『生命』奪ったわけだからさ。俺が言ったこと当たってたでしょ?」
尚が無意識だったとしても、尚にとって命であることに変わりはない。
「だ、大丈夫なのっ? け、ケガっ!」
美結が血相変えて見上げてくる。
「そこまでいってないよ。尚、すぐに勘違いだって気づいたし」
「よかった~。……尚って本当、玲奈のことになると周りが見えなくなるんだね……」
「新垣がまともな人種で助かったな……」
尚はもともと、どちらかと言うと常識人で、僕と美結の扱いもうまかった。
「あとね、美結。いつ折れても大丈夫だったんだよ」
「びっくりした」
今日はいつも通り、美結と二人の帰り道。美結は長い息をともに吐き出した。
「愚弟が美結にまで被害こうむって申し訳ない……」
「そんなことないし、そこじゃないよ」
「じゃあ、どこ?」
「想が……」
「俺?」
「………」
身を屈めて美結の顔を覗き込むと、顔はそのままに目線だけ逸らされた。え……俺、なんかしちゃったかな……。
「想、が……なんか、妬く、みたいなこと言ったから……」
「………」
ああ。慧のことコロスって言ったやつかな?
「妬くよ? 兄さんにも妬いてたから」
「お兄ちゃんに!? 私、お兄ちゃんと仲良くないよ?」
「そうかなー。あ。あと、実はさっき、尚に足踏まれてたんだよ?」
「えっ?」
「足のケガが尚の選手『生命』奪ったわけだからさ。俺が言ったこと当たってたでしょ?」
尚が無意識だったとしても、尚にとって命であることに変わりはない。
「だ、大丈夫なのっ? け、ケガっ!」
美結が血相変えて見上げてくる。
「そこまでいってないよ。尚、すぐに勘違いだって気づいたし」
「よかった~。……尚って本当、玲奈のことになると周りが見えなくなるんだね……」
「新垣がまともな人種で助かったな……」
尚はもともと、どちらかと言うと常識人で、僕と美結の扱いもうまかった。
「あとね、美結。いつ折れても大丈夫だったんだよ」
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